600ドルのMacBook、ついに登場か
Appleが2026年前半に廉価版(Budget)MacBookを発売する計画があるというニュースが話題になっています。価格帯は600〜800ドル(約9〜12万円)と、これまでのAppleの価格戦略からは考えられない低価格帯です。
現在、Appleストアで買える最安のラップトップは「MacBook Air M4」で999ドル(約15万円)。セールでも749ドル程度が限界でした。それが600ドル台に突入するというのは、まさに歴史的転換点と言えます。

MApple 2025 MacBook Air (13インチ, 10コアCPUと8コアGPUを搭載したApple M4チップ,
スティーブ・ジョブズの遺言を破る決断
かつてスティーブ・ジョブズはこう言い放ちました。
「我々はジャンク(ガラクタ)は出荷しない。機能を削ぎ落とした安物PCなんて作らない。我々は世界最高のPCを出荷するんだ」
この哲学を守り続けてきたAppleが、なぜ今になって方針転換するのか。理由はシンプルです。シェアが伸びないから。
革新的な「Mシリーズチップ」が登場して5年になりますが、世界市場におけるAppleのシェアは未だに一桁台から抜け出せていません。どれだけ性能が良くても、価格が高すぎると普及には限界があるのです。

これは「脅威」ではなく「競争の健全化」
一見するとWindows PCにとって強力なライバル出現に見えますが、アナリストのベン・バジャリン氏はこれを「ポジティブな変化のきっかけ」だと分析しています。
健全な競争がもたらすもの
Appleが600〜800ドルの価格帯に高品質なMacを投入すれば、Windows側も対抗するために「もっと魅力的で、質の高いPC」を作ろうと努力するはず。
結果として:
- 安かろう悪かろうでは勝てない
- Windows PCのクオリティも底上げされる
- 手頃な価格でプレミアムな体験ができるPCが増える
ユーザーにとっては願ったり叶ったり。Macが欲しい人は安く買えるようになり、Windows派にも安くて良いPCの選択肢が増える。まさに「Mac-Win」な関係です。
Windowsメーカーの致命的な弱点
実は、Windowsメーカー(OEM)には大きな問題があります。800ドル以下のPCではほとんど利益が出ないのです。
利益がカツカツなため:
- マーケティングに費用をかけられない
- コストカットが露骨に出る
- 筐体が安っぽい
- トラックパッドは感度が悪い
- スピーカーの音質が悪い
「プレミアム感」を出す余裕がないのが現実です。
Appleの武器:「見た目重視」戦略
そこにAppleが投入するのは:
- アルミユニボディ
- 最高品質のトラックパッド
- 高音質スピーカー
- カラフルな新色展開
同じような価格なら、カッコよくて高級感があるAppleを選ぶ人が多いのは明白です。これが「低価格でもプレミアム感が欲しい」というユーザーの欲望を正確に突く戦略。
Windowsメーカーが「コスパ」で戦っている横で、Appleは「映え」で殴りかかってくるのです。
廉価版MacBookの正体:中身はスマホ?
気になるスペックですが、噂されている心臓部はA18 Pro──つまり、iPhone用のプロセッサです。
「パソコンにスマホのチップ?」と思うかもしれませんが、現在のiPhone用チップは5年前のPC用「M1チップ」よりも高性能。ベンチマークテストでも証明されています。

メリットとデメリット
メリット:
- ネットサーフィンや書類作成はサクサク
- 省電力性能が異常に高い
- バッテリー持ちはWindows機を圧倒
デメリット:
- メモリは8GBスタート(2026年に8GB…)
- アップグレードすると価格は800ドル超え
- 重い作業には不向き
しかし、ターゲットである学生やライトユーザーは、ベンチマークの数字なんて気にしません。「カッコよくて、安くて、電池が持つ」──これだけで勝負が決まります。
Windows側の反撃:Surface Laptop 13
Windows陣営も黙っていません。最強の刺客として注目されているのがSurface Laptop 13 (2025)です。
スペック
- プロセッサ: Snapdragon X Plus
- ブラックフライデー価格: 549ドル
- 性能: M1を圧倒、M4と互角
- Macにはない武器: タッチスクリーン
「質感よし、性能よし、電池持ちよし、タッチ操作よし」で価格も安い。Appleの廉価版にとっても最大の脅威です。

Windowsの絶対的優位性:ゲーム
さらに、WindowsにはMacが絶対に勝てない領域があります──ゲームです。
600ドルあれば、最新の激重ゲームを最高画質で動かすのは無理でも、世の中にあるライトなPCゲームを遊べます。
Macでは逆立ちしても遊べないゲームが山ほどあるのです。
Appleが踏み込めない領域
とはいえ、Windows陣営にはAppleが絶対に踏み込めない領域もあります。
1. 300〜400ドルの激安ゾーン
電気屋で売っている「3万円台!」のような激安PC市場。Appleブランドでは、どんなにコストダウンしても300ドルの新品を作るのは不可能です。
2. Chromebookの牙城
Chromebookの99%は教育機関向けに売られています。Googleは大幅な割引で学校のPCを埋め尽くし、多くの学生にとって「PCといえばChromebook」という刷り込みに成功しています。
学校側にとって:
- 壊れても安い
- クラウド管理で楽
- わざわざ高価なMacに乗り換えるメリットが薄い
Appleが「Chromebookの市場を奪う」という予想もありますが、現実はそう簡単ではないでしょう。

Microsoftがすべきこと:立ち止まる
専門家たちが口を揃えて言うのは、Microsoftには今「立ち止まる」ことが必要だということです。
Snow Leopardの瞬間を思い出せ
2009年、AppleのmacOS「Snow Leopard」は、目新しい新機能をほとんど追加しませんでした。その代わり:
- 古いコードを大量に削除
- バグを徹底的に修正
- 安定性と軽量化に全振り
結果、Macは劇的に速く、軽く、信頼できるOSに生まれ変わりました。このたった一回の「我慢のサイクル」が、その後のAppleに対する長年の信頼を生んだのです。
元Microsoft伝説的エンジニアの提言
デイブ・プラマー氏(元Microsoft)はこう言っています:
「Windowsには、もう一度『XP SP2』のような瞬間が必要だ。今すぐAIで価値を足そうとするのはやめろ。システムを安定させ、パフォーマンスを上げ、パワーユーザーにとって使いやすくするのが先だ」
現在のWindows 11は、パワーユーザーからも一般ユーザーからも嫌われています。AIの再発明を一回休んで「Windows 11の修理」に専念するべきなのです。
OSが軽くなれば、600ドルの安いWindowsノートでも動作がサクサクに。「安っぽいWindows PC」にも信頼性と快適さが戻ってきます。
Windowsは本当に負けるのか?
ここまで「AppleがWindowsを潰しに来た」という話をしてきましたが、正直なところWindowsの牙城がそう簡単に崩れることはないでしょう。
理由はシンプル。Macでは.exeが動かないからです。
- 世界中の企業で使われている古い業務ソフト
- 膨大な数のフリーソフト
- すべてのPCゲーム
これらは全部「Windowsで動くこと」を前提に作られています。いくらMacBookが美しかろうが、バッテリーが持とうが、「仕事で使うあのソフトが動かない」となれば選択肢から外れます。
この圧倒的な互換性と過去の遺産こそが、Windowsを支える最強の防壁なのです。
まとめ:PC業界全体が活性化する
Appleの廉価版MacBook参入は、一見するとWindows陣営への脅威に見えます。しかし本質的には:
健全な競争が生まれる
Windows PCのクオリティも底上げされる
ユーザーは安くて良いものを手に入れられる
PC業界全体が活性化する
強力なライバルがいるからこそ、お互いに磨き合って進化できる。2026年のPC市場は、かつてないほど面白くなりそうです。
「カフェでドヤ顔できる美しいMac」を取るか、「ゲームも仕事もバリバリこなす実利のWindows」を取るか──この選択肢が、より安く、より高品質なレベルで提供される未来。
それは、私たちユーザーにとって最高の未来ではないでしょうか。
あなたは次のパソコン、Windowsにしますか?それともMac?
参考
Affordable MacBook could make Windows 11 devices cheaper and analysts agree


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