ヤングジャンプ新人賞AI疑惑騒動とは?

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騒動の概要:賞金43万円のトリプル受賞作品に疑問の声

2025年、ヤングジャンプの新人漫画大賞で賞を獲得したある作品に対し、ネット上で「AIで作られたのではないか」という指摘の声が上がり、議論を呼んでいます。

受賞作品は『御国の羽々斬様』。実績としては:

  • 佳作
  • 月間ベスト賞
  • 初投稿

というトリプル受賞で、賞金総額は43万円。本来であれば新人作家のシンデレラストーリーです。

編集部の寸評では「非常に画力が高くサービス精神もあり、アクションにお色気と読者を飽きさせない努力を節々から感じます」と、画力を高く評価していました。

ネット上で指摘されている不自然な点

公開された作品を読んだ一部のユーザーから、作画に関する以下のような指摘が出ています:

1. キャラクターの描写に関する指摘

  • 「女性のように見えるキャラクターに髭が生えている」
  • 「子供の目が溶けているように見える」
  • 「主要人物の顔が、AIイラストでよく見られる『マスターピース顔』に似ている」

※擁護意見: 「女性に見えるが髭があるキャラ」については、ストーリー上「亭主」と呼ばれているため、女装男性や女性的な見た目の男性という設定の可能性もあるという指摘もあります。

2. コマ間の整合性に関する指摘

一部のユーザーからは、以下のような指摘も:

  • 「右のコマではヒロインが約3メートルの巨女に見えるのに、次のコマでは50センチほどに見える」といったサイズ感のブレ
  • 「部屋のソファの大きさや配置、絨毯の柄がコマごとに変わっている」という背景の不整合

※注意: これらはあくまで一部ユーザーによる主観的な指摘であり、手描きの漫画でも作画ミスやパースの狂いは起こり得ます。

議論の核心:「画力」の評価とは何か

この騒動で最も議論になっているのは、以下の点です:

ルール面の問題

ヤングジャンプの新人賞に「AI使用禁止」が明記されているかは不明です。しかし、一般的に漫画賞は「作者の画力やオリジナリティ」を審査するものとされています。

公平性への疑問

もし仮に(あくまで仮定の話として)AI生成が使用されていた場合、手描きで努力している他の応募者に対して不公平ではないか、という声がネット上で上がっています。

評価の矛盾点

興味深いのは、編集部のコメントです:

  • 高評価: 「画力が高い」
  • 低評価: 「ストーリーや構成面では改善の余地が多く、状況設定が複雑で説明不足」

話作りに関しては厳しく評価されているため、「何が評価されて43万円の賞金となったのか」という疑問の声も見られます。

編集部にとっての難しい立場

この状況は、編集部にとっても対応が難しい問題です:

  • もし「気付かなかった」場合: 「プロの編集者がAI絵を見抜けなかったのか」という審美眼への疑問
  • もし「知っていた」場合: 「AIを使ったもの勝ちになるのか」という漫画家志望者の懸念

どちらに転んでも信頼に関わる状況と言えます。

※重要: 現時点で編集部や作者から公式な見解は出ておらず、これらはあくまでネット上の推測です。

AIと著作権:知っておくべき法的な枠組み

この騒動を理解する上で、AIと著作権の関係を整理しておくことが重要です。

文化庁の指針:二段階の考え方

文化庁の指針では、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」を明確に分けて考えるとされています。

1. 学習段階

日本では、情報解析のように「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」であれば、原則として著作権者の許諾なく学習させることができます。

例外: 「著作権者の利益を不当に害する場合」(例:有料のAI学習用データベースを無断複製する行為など)

2. 生成・利用段階

生成された作品を世に出す場合は、人間が手描きした場合と同様に判断されます。著作権侵害になるかは:

  • 類似性: 既存の作品に似ているか
  • 依拠性: 既存の作品を元にしたか

この2点で決まります。

文化庁『AIと著作権の関係等について』より

AI生成物の著作権

重要な点として、AIが「自律的に生成したもの」は、そもそも著作物に当たらない可能性があります。

人がAIを単なる「道具」として使いこなし、「創作的寄与」を加えたと認められない限り、その作品に著作権が発生しない可能性があるのです。

歴史的転換点:千葉県警の摘発事例

2025年、千葉県警がAI生成画の無断複製を「著作権法違反」として摘発しました。これは全国初の事例です。

ポイント: 被害者のクリエイターは「プロンプト(指示)の修正を2万回以上繰り返した」と証言。警察は、これほど詳細に指示を出し試行錯誤を重ねたなら「創作的寄与がある」と判断しました。

この事例は、今後のAI著作権の基準となる可能性があります。

今後の課題:漫画賞のあり方

この騒動が投げかける本質的な問いは:

  • 漫画賞における「画力」や「執筆」をどう定義するか
  • AIを「便利な筆」として認めるのか、「NG」と見なすのか
  • 真面目に描いている人が報われる評価基準をどう作るか

業界全体がまだ答えを出せていない過渡期にあると言えます。

実際に確認してみよう

受賞作『御国の羽々斬様』は、現在も「となりのヤングジャンプ」のWebサイトで無料公開されています。

ネット上で指摘されている箇所も含めて、実際に自分の目で確かめてみることをお勧めします。「百聞は一見に如かず」です。


まとめ

  • 現時点で作品がAIで作られたという確証はない
  • 編集部からの公式見解も出ていない
  • 作者が独自の技法で描いた可能性も十分にある

この騒動は、「犯人探し」ではなく、「これからの漫画賞のあり方」を考える機会として捉えるべきでしょう。

AIと創作の関係は、まさに今、社会全体で議論されている最中です。技術の進歩と創作の価値、公平性とイノベーションのバランスをどう取るか──私たち全員が考えていく必要があるテーマです。


※本記事は特定の個人や団体を誹謗中傷する意図はありません。あくまで現在進行中の議論を客観的に整理することを目的としています。

作品はこちらから読めます。

御国の羽々斬様

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