NVIDIAがGeForce RTX 5060 TiおよびRTX 5060の新バリアントを開発中であることが、中国の掲示板フォーラム「Board Channel」のリーク情報から明らかになった。既存の8GBモデルに対し、VRAMを1GB増量した9GBモデルとなる見込みで、2025年5〜6月頃の発売が予想される。
「5050だけの話」ではなかった
3GB GDDR7チップの採用をめぐっては、もともとGeForce RTX 5050での採用が先行して報じられていた。現行のGDDR6からGDDR7に切り替えつつVRAMを9GBに増量したモデルが、COMPUTEX 2026前後に登場するというリークだ。
ここで注意したいのは、RTX 5050に関しては現行がGDDR6(128-bit)という点だ。3GBモジュール×3枚の96-bit構成に移行しても、メモリ規格自体がGDDR6→GDDR7へのアップグレードとなるため、帯域幅は実質的に改善される。つまり5050にとっては「容量も速度も上がる」アップグレードだ。
しかし今回のBoard Channelレポートで、その動きが5050にとどまらないことが明らかになった。すでに発売済みのRTX 5060 Ti 8GBとRTX 5060 8GBについても、同じく3GBモジュール×3枚構成の9GBバリアントが投入される計画だという。こちらは現行がすでにGDDR7のため、話が変わってくる。
3GBモジュール戦略がカギ
今回のVRAM増量を可能にするのが、SamsungとMicronが量産を本格化させた3GB GDDR7モジュールだ。従来の2GBモジュールを4枚並べる構成(128-bit バス)から、3GBモジュールを3枚にする構成(96-bit バス)へと変更することで、バス幅を増やすことなくVRAMを9GBへと増量できる。
NVIDIAにとってのメリットは明確で、搭載モジュールが4枚から3枚に減ることでAIBへの供給コストが削減される。すでにノートPC向けRTX 5090シリーズで同戦略が採用されており、今回はデスクトップ向けミドルレンジへの展開となる。
トレードオフ:帯域幅は最大25%減(5060 Ti・5060の場合)
RTX 5060 Ti・RTX 5060については、VRAMが増える一方で帯域幅が大幅に低下する点に注意が必要だ。
| 項目 | 現行 8GB モデル | 新 9GB モデル |
|---|---|---|
| VRAM | 8 GB GDDR7 | 9 GB GDDR7(+1GB) |
| モジュール構成 | 2GB × 4枚 | 3GB × 3枚 |
| バス幅 | 128-bit | 96-bit |
| 帯域幅(28Gbps時) | 448 GB/s | 336 GB/s(−25%) |
| 帯域幅(32Gbps時) | — | 384 GB/s(−14%) |
| 発売時期 | 発売済み | 2025年5〜6月頃 |
現行の8GBモデルは128-bitバス/448 GB/sの帯域幅を持つが、9GBモデルは96-bitバスのため28Gbps動作時で336 GB/sにとどまる。より高速な32Gbpsメモリを採用したとしても384 GB/sであり、現行モデルには届かない。
帯域幅はゲーミングGPUにおいて、特に高解像度・高フレームレート時のフレームレートに直接影響する指標だ。すでに帯域幅がボトルネックになりやすいミドルレンジGPUにおいて、この削減は無視できない。「VRAMが1GB増えた」という数字だけを見て飛びつくのは危険で、実ゲームでのパフォーマンスが現行8GBモデルを下回るシーンも出てくる可能性がある。
価格はそのままになるか
NVIDIAがAIBへの供給コストを削減しても、その恩恵が消費者価格に反映されるかは不透明だ。現時点では「その他の仕様は据え置き、価格も据え置き」との見方が強く、実質的にはNVIDIAとAIBの利益改善に終わる可能性がある。
RTX 5060 Tiには既存の16GBモデル(8GBより$50高)も存在するため、9GBという容量はラインナップ内でやや中途半端な位置づけになる点も気になるところだ。
RTX 50シリーズ リーク済みラインナップ一覧
現時点でリークされているRTX 50シリーズ(SUPERバリアント除く)の全モデルは以下の通り。🆕マークが今回新たにリークされた9GBモデルだ。
| GPU | CUDAコア数 | メモリ | TGP | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| RTX 5090 | 21,760 | 32GB G7 512b | 575W | ✅ 発売済 |
| RTX 5090 D | 21,760 | 32GB G7 512b | 575W | ✅ 発売済 |
| RTX 5090 D v2 | 21,760 | 24GB G7 384b | 575W | ✅ 発売済 |
| RTX 5080 | 10,752 | 16GB G7 256b | 360W | ✅ 発売済 |
| RTX 5070 Ti | 8,960 | 16GB G7 256b | 300W | ✅ 発売済 |
| RTX 5070 | 6,144 | 12GB G7 192b | 250W | ✅ 発売済 |
| RTX 5060 Ti 16GB | 4,608 | 16GB G7 128b | 180W | ✅ 発売済 |
| RTX 5060 Ti 9GB 🆕 | 4,608 | 9GB G7 96b | TBC | 🟣 リーク |
| RTX 5060 Ti 8GB | 4,608 | 8GB G7 128b | 180W | ✅ 発売済 |
| RTX 5060 9GB 🆕 | 3,840 | 9GB G7 96b | TBC | 🟣 リーク |
| RTX 5060 8GB | 3,840 | 8GB G7 128b | 145W | ✅ 発売済 |
| RTX 5050 9GB 🆕 | 2,560 | 9GB G7 96b | 130W | 🟣 リーク |
| RTX 5050 8GB | 2,560 | 8GB G6 128b | 130W | ✅ 発売済 |
出典:VideoCardz / Board Channels(リーク情報のため変更の可能性あり)
Computex 2025での正式発表に注目
発売予定の5〜6月はComputex 2025の開催時期とも重なるため、同イベントでの公式アナウンスが有力視される。
ただし本情報はあくまで中国フォーラムの二次情報であり、NVIDIAによる公式確認はまだない。正式発表があり次第、追ってお伝えする。
帯域幅を削ってVRAMを増やす——コスト優先のこの戦略が、ミドルレンジ市場のユーザーにとって本当にメリットになるかは、実機レビューが出そろうまで判断を保留したほうがよさそうだ。

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