【異常事態】メモリ在庫、残り2週間。DDR5・SSD価格高騰の「本当の理由」と、マイニングブームとの致命的な違い
PCパーツ市場、特にメモリ(DRAM)とストレージ(NAND/SSD)の価格が、我々の予想を遥かに超えるスピードで高騰しています。
「メモリが値上がりする」という話は以前からありましたが、状況は思った以上に深刻です。半導体市場調査会社TrendForceは、2025年第4四半期(10~12月)のDRAM契約価格予測を、9月末の「8~13%上昇」から、わずか1ヶ月で「18~23%上昇」へと大幅に修正しました。
この異常な高騰の裏には、私たちが「AIブーム」と呼ぶ現象の、恐ろしい実態が隠されています。
SK HynixのDDR5在庫は「2週間分」
衝撃的な事実が、モルガン・スタンレーの最新分析で明らかになりました。
世界3大DRAMメーカーの一角である「SK Hynix」のDDR5メモリ在庫が、約2週間分にまで減少しているというのです。これはもはや「在庫」とは呼べず、工場で製造したそばから出荷される「生産即出荷」状態を意味します。
なぜ、これほどの異常事態に陥っているのか? 理由はただ一つ。AIチップ(NVIDIAのGPUなど)に使われる超高性能メモリ、「HBM(High Bandwidth Memory)」の需要が爆発しているからです。

メーカーは、利益率の低い一般消費者向けDDR5の製造ラインを止め、その製造能力(キャパシティ)のすべてを、儲かるHBMの生産に振り向けています。その結果、私たち一般消費者向けのメモリが物理的に作られていないのです。
影響はPC・スマホ・SSDの「すべて」
この影響は、自作PC市場だけに留まりません。
- PC向け (DDR5): 平均納期(メーカーが発注してから製品が届くまでの時間)は、「26~39週間」にまで延びています。つまり、今注文しても、納品は半年から9ヶ月先です。
- スマートフォン向け (LPDDR5X): スマホや薄型ノートPCに使われる省電力メモリも、同じDRAM製造ラインを使っているため、HBMに生産枠を奪われ高騰しています。Xiaomiの総裁が「ストレージコストの上昇は予想以上で、今後も続く」と公言するほどの事態です。
- ストレージ向け (NAND): DRAMだけでなく、SSDの中身であるNANDフラッシュメモリもAIサーバーで大量に消費されており、同様に価格が上昇し続けています。
モルガン・スタンレーは、この需要急増により「2026年を通じて深刻な供給不足が継続する」と予測しています。
「マイニングブーム」との致命的な違い
「どうせ数年前のマイニングブームと同じで、一時的なものでしょう?」 そう考える方も多いかもしれませんが、今回のAIブームは、あの時とは次元が違います。
違い①:被害の「範囲」
マイニングブームで高騰したのは、主に「グラフィックボード(GDDRメモリ)」だけでした。あれは「局地戦」でした。 しかし、今回は違います。AI(HBM)の需要に引きずられ、
- グラボ(GDDR)
- PCメモリ(DDR5)
- スマホメモリ(LPDDR5X)
- SSD(NAND)
これら半導体メモリ「すべて」が奪い合いの対象となっています。これはPC市場の枠を超えた「総力戦」です。
違い②:メーカーの「認識」
マイニングブームの時、NVIDIAやAMDは「これは不安定なバブルだ」と冷静に認識していました。バブルが弾けた時、マイナーが放出した中古グラボで市場が溢れ、「新品の在庫地獄」になることを恐れたのです。だから、増産には慎重でした。
しかし、今回は違います。 メーカー各社は「AIは一時的なバブルではなく、社会インフラだ」と信じ込み、DRAMの製造ラインをためらうことなくHBMに「全振り」しています。
結論:これは「バブル」か「革命」か?
ここに最大のジレンマがあります。 「95%のAI開発は利益を生んでいない」というデータや、「当のAI自身が『バブル(人間の過剰な期待)だ』と分析している」という事実もあります。
もしこれが「史上最大のバブル」だった場合、HBMの注文が止まった瞬間に、全振りした製造ラインは崩壊し、半導体市場そのものが破綻するかもしれません。
しかし、もしこれが本物の「産業革命」なら、メモリ価格は二度と私たちが知る安値には戻ってこないでしょう。
どちらに転んでも、私たち一般消費者に確実なのは、「少なくとも2026年まで、メモリは不足し、高騰し続ける」という現実です。
価格はすでに高騰していますが、TrendForceが「今後さらに上方修正される可能性も高い」と警告している今、私たちが「まだ手が届く」と感じている現在の価格こそが、最後の大底なのかもしれません。
メモリやSSDの購入・増設を検討している方は、「あの時買っておけば…」と後悔する前に、早めの決断をおすすめします。



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