2028年まで続く悪夢?メモリ不足の真実

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PC自作ユーザーやゲーマーにとって、最近のメモリ価格高騰はもう他人事ではありません。しかし、ここ数ヶ月の値上げは「一時的な波」ではなく、業界最大手・SK Hynixの内部分析によると、2028年まで続く構造的な問題であることが判明しました。

SK Hynixが発表した絶望的な予測

韓国の半導体大手SK Hynixは、メモリ市場に関する衝撃的な分析を公開しました。その内容は、PC用メモリを必要とするすべての人にとって悪いニュースです。

彼らの結論は単純にして絶望的:「DRAMの供給不足は2028年まで解消されない」

さらに問題なのが、これが「一時的な需給調整」ではなく、「手に負えない状態」と表現されている点です。メーカー自身が「もう無理です」と匙を投げている状況なのです。

なぜこんなことになるのか?メモリ市場の現実

1. AI需要が全てを飲み込んでいる

市場全体でサーバー向けDRAMが占めるシェアは急速に拡大しています。2025年の38%から、2030年には53%に達すると予測されています。つまり、市場の半分以上がAI・サーバー向けになるということです。

GoogleやMicrosoftといった巨大クラウドプロバイダーは、AIトレーニング用のデータセンターを狂ったように建設しています。この現象は業界で「DRAMスーパーサイクル」と呼ばれています。

2. メーカーは意図的にPC用メモリを増やさない

驚くべきことに、SK Hynixをはじめとするメモリメーカーは、供給不足を解決するために工場をフル稼働させていません。なぜか?過去の教訓から学んだからです。

「市場にメモリを溢れさせると、価格競争になって儲からない」——この認識が、メーカーに「品薄状態を維持して高値で売り続けた方が儲かる」という判断をさせています。

つまり、私たちの苦しみは、メーカーの利益戦略の結果なのです。

3. 新工場も一般ユーザーのためではない

SK Hynixは36億ドル(約5,500億円)を投じてM15Xという巨大新工場を建設しました。これは朗報のはず——ですが、その全容量はHBM(AI用高級メモリ)生産に特化しています。

さらに2027年前半には龍仁に新工場がオープンしますが、やはり目的は「AI需要に対応すること」。新工場による増産分は、最初からAI業界が予約済みなのです。

4. 在庫枯渇と割り当て圧力

現在、メーカー側の在庫レベルが歴史的な低水準に落ち込んでいます。少ない在庫を巡って、大手サーバー企業とAI企業が奪い合いを繰り広げています。

当然のこと、力のある巨大IT企業が勝ち、PC用メモリ市場は後回しです。

PC市場も変わる:AI PC化による加速

2026年には、PC市場全体の約55%がAI PCになると予測されています。さらに皮肉なことに、PC総出荷台数自体は横ばいです。

つまり、PCの「数」は増えないのに、その「中身」がメモリを大量に消費するAI PCに入れ替わっていくということ。メモリ不足の火に油を注ぐ行為そのものです。

SSDも同じ道を辿る

悲しいことに、DRAM不足はメモリだけで終わりません。SK Hynixの分析は、SSD(NAND)についても同様の警鐘を鳴らしています。

理由は全く同じ:サーバー側の需要が高く、そっちの方が儲かるから。メーカーは利益の薄い個人向けSSDより、データセンター向けの超大容量SSDを優先します。

私たちはどうなるのか?

SK Hynixのメディア対応から見えるのは、一般ユーザーへの完全な見捨てです。

彼らは「多様な顧客に対応する」と言いながらも、その「多様な顧客」が実は「色々な種類のAI企業」を指していることを、本来は隠したかったはず。最終的には「AI産業の発展に貢献する」と、本音を漏らしてしまいました。

2027年上半期には大規模なDRAM生産能力の追加が行われるという予測もありますが、その時点で初めてPC向けメモリが潤うわけではなく、単にAI需要をさらに満たすためのものになるだけでしょう。

どうすれば良いのか?

自作PCユーザーへ

淡い期待は捨ててください。スポット価格の上昇トレンドは継続するでしょう。「もう少し待てば下がるかも」という願いは、2028年まで叶いません。

必要なメモリがあれば、今のうちに確保することが賢明です。「欲しい時が買い時」は、これからは「今買わないと二度と買えない」に変わるのです。

一般ユーザーへ

スマートフォンやノートPCを購入する際は「シュリンクフレーション」に注意してください。価格は据え置きだが内容がショボくなる現象です。

メーカーは本体価格を上げるか、コストを削るかの二択を迫られます。「お値段そのまま!」と宣伝しながら、実は16GB搭載すべきモデルが8GBで販売されているかもしれません。

ゲーマーへ

高性能メモリの供給順位では、GoogleやAmazonなどのクラウドサービスプロバイダーが優先されます。ゲーマーは圧倒的に不利な立場に置かれるリスクがあります。

性能を求めるなら、在庫が消える前が決断の時です。

最後に

この状況は一企業の戦略ミスではなく、業界全体の構造的な問題です。AI産業の急速な成長と、それに対応するメーカーの戦略的な選択が、一般消費者にしわ寄せを押し付けています。

2028年の「雪解け」は遠いかもしれません。それまでに何か購入する予定があるなら、今が最後の決断の時かもしれないでしょう。

SK Hynix Warns DRAM Supply Growth Will Lag Demand Through 2028

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