AMDの次世代CPU「Zen 7」リーク情報まとめ――32コア・TSMC 「A14」プロセス・AM5継続、その設計思想が見えてきた

AMDの次世代CPUアーキテクチャ「Zen 7」に関するリーク情報が、著名リーカー「Moore’s Law Is Dead」によって公開されている。複数の情報源・設計資料・レンダリングをもとに構築されたものとされており、まだ確定情報ではない。しかしその内容は、AMDが次の数年間でどこへ向かおうとしているのかを、かなり具体的に示している。

現時点で判明している情報を整理しつつ、この設計が意味するものを読み解いていく。


目次

デスクトップ向け:「Grimlock Ridge」

基本スペック

デスクトップ版Zen 7のコードネームは「Grimlock Ridge」。最大構成は32コアで、16コアのCCDを2基搭載する構成になる見込みだ。ソケットはAM5を継続する。

IOD(入出力ダイ)はZen 6世代と共通のものを使い回す設計で、サイズは約155mm²。CCDは16コア構成で約98mm²と、高密度CCDとしてはかなり大型の部類に入る。製造プロセスはTSMCの「A14」プロセスを採用予定で、量産開始は2028年が目標とされている。

CCDの「二極化」という設計判断

Zen 7の設計思想で最も注目すべき点は、CCDを性能用と量産用の二種類に分けた点だ。

ハイエンド向けの「Silverton」は16コア構成で、最大7GHz級のクロック到達も視野に入り、3D V-Cacheへの対応も想定されている。一方、メインストリーム向けの「Silverking」は8コア構成で、V-Cache非対応・帯域半減・小型設計という特性を持つ。量産効率と歩留まりを最優先にした低コスト路線だ。

さらに、チップの個体特性に応じて高効率な個体はノートPC向けに、リーキー(電力漏れが多い)な個体はデスクトップ向けにと、同一ダイから用途を振り分ける仕組みも想定されているという。性能と量産を同一ダイで両立しようとせず、割り切って分離する。設計コストを下げながら、製品ラインナップの幅は保てる構造だ。

上位と下位で値段差が極端に開く可能性

ただし、この二極化には副作用がある。ハイエンドとエントリーで体感できる性能差が、かつてない水準に広がる可能性があることだ。

Silvertonを2基搭載した32コアのフラッグシップと、Silverkingを積んだ8コアのエントリーモデルは、同じZen 7世代でありながら、実力差と価格差の両方が極端に開くことが予想される。これまでも上位・下位の差はあったが、CCDのアーキテクチャそのものが別物になることで、ミドルレンジ帯の「お得感」がどこに落ち着くかは製品展開次第になる。

Ryzen 7 9800X3Dのような「実用最強コスパ」の立ち位置が次世代でも成立するかどうかは、まだわからない。Zen 7の製品を選ぶ際は、搭載CCDが「Silverton」か「Silverking」かを確認することが重要になりそうだ。

AM5継続の意味:Intelと比較するとその異常さがわかる

今回のリークで最も長期的な影響を持つ情報は、AM5ソケットの継続かもしれない。

AMDはZen 4(Ryzen 7000シリーズ)の時点でAM5に移行し、Zen 5でも継続。リーク通りならZen 6・Zen 7まで同一ソケットが使われることになる。単純に計算すれば、AM5は2022年から2028〜2029年ごろまで、10年近く現役であり続ける可能性があるということだ。

この数字をIntelの動向と比較すると、その異常さがよくわかる。Intelは現行のLGA1700(第12〜14世代)から次世代「Arrow Lake」でLGA1851に変更し、さらにその次の「Nova Lake」でまたソケットを変える方向が示唆されている。2〜3世代ごとにソケットが変わってきたIntelの歴史からすれば、AMDのAM5継続戦略は異次元に近い。

AM5のマザーボードを今持っているユーザーは、理論上Zen 7にアップグレードできる可能性が高い。Ryzen 7000シリーズから購入した人が、2028〜2029年のZen 7世代まで同じマザーボードで使い続けられるとすれば、プラットフォームの投資対効果は過去のあらゆるCPUアーキテクチャと比べても際立って高い。

性能の見通し

Zen 4→Zen 7の世代間ジャンプについて、リークではシングルスレッド性能がほぼ2倍近い伸びの可能性があり、マルチスレッドでは2〜3倍以上も視野に入ると伝えている。L3キャッシュも最大0.5GB規模にまで拡張されるとされる。

「A14」プロセスへの移行効果とSilverton CCDの設計最適化が組み合わされば、今まで数世代かけて達成してきた性能向上が一度に実現する可能性はある。ただしTSMCの「A14」プロセスが予定通り量産に入るかどうか自体、2028年時点では未確定要素が多い点は押さえておきたい。


ノート向け:「Grimlock Point」と「Grimlock Halo」

主力ノートCPU「Grimlock Point」

ノート向けの主力モデルは「Grimlock Point」だ。Zen 7とZen 7Cのハイブリッド構成で、標準的な構成は約12コア、必要に応じて追加コアを搭載できる設計になっている。IODのサイズは約200mm²前後と推定されており、モバイルとしてはかなり大型だ。iGPUやAI処理回路を大きく確保する前提の設計と見られる。

ターゲット市場はプレミアム薄型ノート・dGPU併用モデル・ハイエンドUltrabook帯。Zen 7世代のメインストリームを担うモバイルCPUという位置づけになる。

怪物APU「Grimlock Halo」

しかし、ノート向けで本当に注目すべきなのは「Grimlock Halo」の方だ。

Grimlock HaloはモノリシックSoCとして20コア以上を単体に搭載し、さらに追加チップレットによって最大36コア構成まで拡張できるとされている。Zen 7とZen 7Cの混合構成に、低消費電力コアをさらに追加する可能性もある。外観的にはZen 5世代の「Strix Halo」に近い設計だが、内部構造は刷新されているとのことだ。

「ノートPC向けCPU」という括りがもはや意味をなさないスペックで、モバイルワークステーション向けSoCと表現する方が実態に近い。現行のRyzen AI Max(Strix Halo世代)がすでに、外付けGPUなしでも高負荷な3DゲームやAIワークロードを処理できる実力を持っていることを踏まえると、Grimlock Haloがそれをさらに上回るとすれば、「ノートPCでデスクトップ代替」という選択肢が現実味をさらに増してくる。

Zen 7全体の設計方針とは

デスクトップとモバイルのリーク情報を並べると、Zen 7全体の設計方針が見えてくる。

高性能CCD(Silverton)はデスクトップのハイエンドとGrimlock Haloに、高効率CCD(Silverking)はGrimlock Pointをはじめとするノート向けに振り分けられる。同一のCCDでも効率の良い個体はノートへ、リーキーな個体はデスクトップへという選別が行われる構造だ。

これが示しているのは、AMDがAI処理・大型iGPU・多コアをノートPCでの使用を前提に設計しているということだ。デスクトップが主、ノートが従という設計思想が、Zen 7では逆転している可能性がある。市場動向を見れば自然な方向性で、薄型ノートやモバイルワークステーションへの需要拡大とAIエッジ処理の重要性増大を考えれば、プロセッサメーカーがモバイルを主戦場と見なすのは当然の判断だ。Zen 7は、その判断がアーキテクチャ設計に明確に反映された初めての世代になるかもしれない。


まとめ:Zen 7が示す「設計の転換点」

ここまでの情報を整理すると、Zen 7は「性能世代」という文脈だけでは語り切れないことがわかる。

デスクトップでは、IOD共通化でコストを下げ、CCDを性能特化と量産特化に分離し、TSMC「A14」プロセスに移行しながら、ソケットは変えない。ノートでは、主力モデルと超高性能モデルで役割を明確に分け、後者はデスクトップを超える構成を持つ。

「どこで攻めて、どこを節約するか」の設計判断が、これまで以上にクリアになった世代だ。AMDがチップレット設計を武器にした当初から向かっていた場所が、Zen 7でひとつの形になる。単純な性能世代としてではなく、「量産最適化とモバイル優先の完成形」として見ると、この世代の意味がより鮮明になる。


ソース

※本記事の情報はリークに基づくものであり、正式発表までに変更される可能性があります。

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この記事を書いた人

『らぼぷら』の編集兼運営者をしており、動画投稿含めすべてのコンテンツを執筆・編集しています。
中学時代から自作PCに熱中し、CPUやGPUの比較検証、冷却・静音チューニングまで幅広く研究してきました。
得意なことを活かしたい!という思いから、長年の趣味であるPC・ガジェット情報を発信する当サイトを開設!

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