Intelが遂に、半導体製造の最前線に躍り出ようとしています。新プロセス「18A(1.8オングストローム相当)」の本格量産が年内に開始され、次世代CPU「Panther Lake」が2026年初頭には市場投入される予定です。今回は、このIntel 18A技術と、そこから広がる次世代AI・フィジカルAI戦略を徹底解説します。
Intel 18Aとは何か?
Intel 18Aは、CPUやSoC(System on Chip)を製造するための最新半導体プロセス技術です。「18A」は1.8nm相当を意味し、Intelが長年苦戦してきた微細化技術の課題を突破する切り札として注目されています。
過去数年、Intelは10nmや7nmプロセスで苦戦し、AMDやApple(TSMC製チップ)に性能・電力効率で大きく水をあけられていました。しかし、18Aは最新のRibbonFET(次世代トランジスタ)とPowerVia(裏面電力供給)を同時に導入することで、これまでの技術的限界を突破しています。

驚異のV字回復──歩留まりの改善
今年8月には、18Aの歩留まり(良品率)が10%程度しかなく、「量産は困難」と報じられていました。しかし、わずか3ヶ月後、Intel日本法人は「過去15年の製品と比べても同等以上の歩留まりを達成」と発表しました。
この短期間での改善は、単純な技術力だけでは説明できません。米政府の半導体振興策や大規模出資、さらにはNVIDIAとの協業や出資受け入れなど、巨額の資金と政治的支援も背景にあります。
NVIDIA and Intel to Develop AI Infrastructure and Personal Computing Products
Panther Lakeと次世代AIの展望
18Aを活用した次世代CPU「Panther Lake」は、PC向けだけでなく、次世代AIやフィジカルAI分野でも重要な役割を担います。
1. エージェンティックAI
生成AI(例えばChatGPT)の上流に位置し、人間の指示を最小限にして自律的に意思決定を行う「AIの上司」です。目標を設定するだけで、タスクを学習・分配し、部下AIに指示を出しながら目標達成を目指します。
2. フィジカルAI
AIがロボットを自律制御し、物流・製造・介護など現実世界の作業を担う分野です。日本のような深刻な人手不足問題を解決するために、フィジカルAIの需要は特に大きいとされています。IntelはPanther Lakeを搭載したロボティクス向けリファレンスボードも公開済みです。
GPUだけじゃ効率が悪い時代
従来の生成AIは「単一LLMを大規模GPUで動かす」構成であり、GPU並列化の戦略が有効でした。しかし、エージェンティックAIやフィジカルAIは多種多様なモデルが複雑に連携するため、単純にGPUを大量に並べても効率が悪化します。

ここでIntelの強みが光ります。CPU・GPU・アクセラレータを統合管理できるオープンソフトウェア基盤により、異種混在(ヘテロジニアス)環境で高効率かつ柔軟にAI計算を行えるのです。

まとめ:Intel 18Aは逆転の切り札
Intelは18AプロセスとPanther Lakeを軸に、単なるPC市場に留まらず、次世代AI・フィジカルAIの世界でも存在感を示そうとしています。
- 18Aプロセス:1.8オングストローム級の最先端プロセスで歩留まりを大幅改善
- Panther Lake:次世代CPU、2026年初頭投入予定
- エージェンティックAI:自律的意思決定AI
- フィジカルAI:ロボットによる現実世界の自律作業
- Intelの戦略:CPU/GPU/アクセラレータ統合とオープンソフトで異種混在AIに対応
Intelの逆転戦略は単なる技術革新に留まらず、資金・政治・協業をフル活用した国家規模の挑戦とも言えます。2026年、Intelの18AとPanther LakeがAI戦国時代にどのような影響を与えるのか、見逃せません。


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