「現代のインターネットに疲れたら、1990年代に戻ってみよう」
開発者のVictor Lariosが公開した「CDE Time Capsule」という、1994年当時のDebian LinuxをベースにしたCDE(Common Desktop Environment)をブラウザ上で忠実に再現したオープンソースプロジェクトが話題になっている。
GitHubでGPLライセンスのもとオープンソースとして公開されており、専用ドメインからインストールなしで今すぐ体験できる。
CDEとは何か
CDEとは、1990年代にUnix系OSで広く使われていたデスクトップ環境だ。HP・IBM・Sunといった大手企業が共同開発し、1993年6月に初リリースされた。その後、GNOMEやKDEが登場する1990年代末まで、Unix系デスクトップの標準として君臨した。
現代のWindows・macOS・Linuxのデスクトップに慣れた目で見ると、独特のグレー基調のUIと無骨なデザインが印象的で、当時のコンピューティング文化を色濃く反映している。
何ができるのか
CDE Time CapsuleはPWA(Progressive Web App)として動作し、デスクトップ・タブレット・スマートフォンいずれにも対応している。モバイルではタッチジェスチャー、デスクトップではキーボードショートカットも利用できる。
起動すると、まず当時風の「システム初期化シーケンス」が流れ、その後CDEデスクトップに入る。

見た目の再現度は高く、76種類のオリジナルカラーパレットと198種類のXPMバックドロップが使われている。

機能面では以下が実装されている。
- デスクトップとアイコンバー(画面下部)
- 4つの仮想デスクトップを切り替えられるワークスペーススイッチャー
- Netscapeブラウザ(当時の90年代デザインのハードコードページのみ閲覧可)
- ターミナル
- XEmacsテキストエディタ
- ファイルマネージャー
- システムアプリ(疑似プロセス管理)
- カラーパレット・背景・UIスタイルなど豊富なカスタマイズオプション
実際に操作してみると、細部の作り込みに驚かされる。当然ながらNetscapeは本物のウェブを閲覧できるわけではなく、あらかじめ用意された90年代デザインのページのみ表示できる仕様だ。しかし動作は軽快でバグも少なく、モバイル端末でも問題なく動作する。
どうやって試すのか
ブラウザから専用サイトにアクセスするだけで、インストールなしに体験できる。ローカルにインストールしたい場合は、ブラウザ上の「Install PWA」ボタンをダブルクリックするだけで完了する。
GitHubでは初心者向け・パワーユーザー向け・開発者向けのドキュメントが整備されており、カスタマイズや開発への参加も歓迎されている。
なぜ今これが刺さるのか
ノスタルジアというだけではない。現代のOSがどんどん複雑化・重厚化していく中で、「UIとは何か」「操作体験の本質はどこにあるのか」を改めて考えさせてくれる教材としての価値がある。
また、これだけの完成度をPWAとして実現している技術的な側面も見どころだ。1994年当時のUXを、2020年代のウェブ技術で完全に動かしてみせるという試みは、それ自体が一つのエンジニアリングの成果だ。
ちょっとした懐古趣味から、技術的な好奇心まで、幅広い層が楽しめるプロジェクトと言っていい。

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