深刻化する不具合報告
2026年に入り、ASRock製およびASUS製マザーボードでAMD Ryzen 9000シリーズCPUが故障する事例が相次いで報告されています。海外掲示板Redditでは「9000シリーズ故障スレッド」が伸びるなど、複数のメーカーで同様の問題が発生している状況です。
主な症状
報告されている主な症状は以下の通りです:
- PCが突然シャットダウンし、二度と起動しなくなる
- CPUの接点に焦げ跡が見つかるケースも
- マザーボードのデバッグLEDが点灯したまま起動不能に
- 何の前触れもなく突然発生する
ASRock:Ryzen 9000シリーズ全体で不具合発生
過去の経緯
2025年2月頃、Ryzen 7 9800X3Dを中心にCPU破損の不具合が発覚しました。ASRockは同年5月、PBO設定の「EDC」と「TDC」の値が過激すぎたことを公式に認め、BIOSバージョン3.25で設定を見直しました。
2026年:問題の再燃
しかし、2026年に入り再び同様の故障報告が急増。今回はRyzen 9000シリーズ全体に被害が広がっています。ASRockは公式声明で「AMDと密接に連携して徹底調査中」と表明し、原因究明にあたっています。
被害の範囲
ASRockのAM5対応マザーボードでは、幅広いモデルで故障が報告されています:
- 9800X3D: 183件(12月集計時点)
- 9600X: 29件でワースト3位(海外メディアWhyCryによれば、わずか2週間で4件の報告)
- 9700X: 視聴者コメントでも報告あり
特にコストパフォーマンスに優れた9600Xでの故障報告は深刻です。ミドルクラスの人気モデルであるため、被害者数の拡大が懸念されています。
ASRockの対応状況
現時点では、ASRockから具体的なBIOSアップデート推奨の案内は確認されていません。ただし、2025年の不具合を修正したBIOS 3.25以降へのアップデートは必須とされています。
最新のBIOS v3.50にアップデート後も故障が発生しているケースがあり、単純なBIOS更新だけでは解決しない可能性も示唆されています。
ASUS:9800X3Dに焦点を当てた調査
調査開始の発表
2026年1月24日、ASUSも公式に内部調査開始を発表しました。ASUSの調査は特に9800X3Dに焦点を当てており、最新のAMD 800シリーズ(X870E、X870)チップセット搭載マザーボードで不具合が多発しています。
ASUSの対応
ASUSは声明で「AMDと緊密に連携して事例を検証中」としつつ、以下の対応を推奨しています:
- EZ FlashまたはBIOS Flashbackを使用した最新BIOSへの更新を強く推奨
- 具体的なガイダンスを提供
売れ筋の9800X3DとASUSのマザーボードの組み合わせで、「起動しない」「突然死した」という報告が後を絶ちません。
原因として考えられる要素
専門家の間では、PBO(Precision Boost Overdrive:自動オーバークロック機能)の設定が過激すぎた可能性が指摘されています。マザーボード側が性能向上のために電力を供給しすぎ、CPUが耐えられなくなった可能性があります。
しかし、複数のメーカーで同様の問題が発生していることから、マザーボード側の設定以前に、CPUそのものやAMDが提示している推奨値自体に問題がある可能性も指摘されています。
ユーザーができる対策
必須対応
ASRock製品を使用している場合
- BIOS 3.25以降への更新は必須
- 古いBIOSバージョンのまま使用することは、時限爆弾を抱えているようなもの
ASUS製品を使用している場合
- 最新BIOSへの更新を推奨(EZ Flash、BIOS Flashback使用)
推奨される自衛策
- 定格運用:PBO、EXPO(メモリOC)などオーバークロック関連設定をすべてデフォルトに
- OC、CO(カーブオプティマイザー)の解除
- アンダーボルトの停止:現時点では電圧調整も控えるのが無難
- 複雑な挙動をさせるより、素の状態で運用する
サポート窓口の活用
ASRockは「お客様からのフィードバックを改善の基盤として重視している」と公言しており、テクニカルサポート部門での問い合わせ受付を案内しています。不具合や不安がある場合は、メーカーサポートへの相談を推奨します。
冷静な視点も必要
ただし、以下の点も考慮すべきです:
- Ryzen 9000シリーズは販売台数が多く、熱心なユーザーが多いため報告が目立ちやすい
- 実際に故障に遭遇するのは全体から見れば一部のユーザー
- 工業製品である以上、一定確率で初期不良(ハズレ個体)は存在する
しかし、ASRockとASUSという日本で最も売れているツートップのメーカーで同様の問題が発生している点は看過できません。
今後の展望
この問題は2024年に発生したIntel Raptor Lake問題を彷彿とさせます。当初は「一部の不具合」と思われていたものが、最終的には世界規模の大問題となった前例があります。
AMDには、Intelの二の舞いにならないよう、迅速かつ透明性のある説明と対策が期待されています。メーカーのBIOSアップデートだけでは解決しない可能性もあり、AMD側のより踏み込んだ調査や対策が求められる状況です。
まとめ
現在ASRockまたはASUS製AM5マザーボードでRyzen 9000シリーズを使用しているユーザーは:
- ASRock:BIOS 3.25以降への更新確認、9000シリーズ全体に注意
- ASUS:最新BIOSへの更新、特に9800X3Dユーザーは要注意
- 共通:定格運用での様子見が最も安全
最新情報を注視しつつ、過度に恐れず、しかし慎重に見守っていくことが賢明です。

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