オーストラリアでMicrosoftが謝罪と返金を発表
2025年11月6日、MicrosoftはオーストラリアのMicrosoft 365ユーザー約270万人に対して、返金と謝罪を発表しました。
きっかけは、同国の規制当局「オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)」による訴訟です。
ACCCは、MicrosoftがAIアシスタント「Copilot」統合に伴う価格改定を行う際に、ユーザーに誤解を与える説明をしたと主張しています。
問題となったのは、「Microsoft 365 Personal」および「Microsoft 365 Family」プラン。
自動更新が有効なユーザーに対して、Microsoftは
「Copilotを統合した新プランを受け入れて値上げに同意するか、解約するか」
の二択しか提示しなかったのです。
実際は“第三の選択肢”が存在していた
実は、もうひとつの選択肢がありました。
それが――「Microsoft 365 Classic」プランです。
このプランでは、
- Copilotを含まない(AIなし)
- 従来通りの機能を維持
- 値上げ前の価格を維持
という条件で利用できました。
ところがMicrosoftはこの「Classicプラン」の存在を、通知の中で一切明示していなかったのです。
ユーザーがこのプランを見つけられる唯一の方法は、「サブスクリプションの解約手続き」を進めること。
解約途中の画面で初めて“Classicプランへの移行”が提示されるという、かなり不透明な仕組みでした。

値上げ率は最大45% Copilot統合の影響
Copilot統合により、オーストラリアでは以下のような値上げが実施されました。
| プラン | 旧価格 | 新価格 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Personal | AU$109 → AU$159 | +45% |
| Microsoft 365 Family | AU$139 → AU$179 | +29% |
AI機能を使いたいユーザーには新しい価値かもしれませんが、
「AIなんていらないのに勝手に値上げされた」と感じたユーザーも多かったようです。
ACCCが指摘した“3つの問題点”
- Classicプランを隠していた(情報開示の欠如)
- ユーザーに誤解を与える表示(「二択しかない」ように見せた)
- 高額プランへの誘導(Copilot統合版への切り替えを促進)
これらが消費者保護法(オーストラリア消費者法)違反に当たるとされ、
ACCCはMicrosoftに対し、最大5,000万豪ドル(約50億円)以上の罰金と返金命令を求めています。
Microsoft「もっと明確に説明すべきだった」
Microsoftは11月6日付の声明で次のようにコメントしました。
「AI非搭載のサブスクリプションが利用可能であることを、ユーザーにもっと明確に伝えるべきだった。」
「影響を受けたユーザーに返金を申し出るとともに、今後は説明を改善する。」
すでに対象ユーザーにメールを送信し、AIなしプランの案内と払い戻しの手続きを開始しています。
Copilotは本当に必要なのか?
ここで気になるのが、「Copilotって本当に必要なの?」という点です。
確かにCopilotはWordやExcelなどの操作を効率化できる便利なAIですが――
現時点では以下のような制限や課題もあります。
- 無料版では1日300回・1セッション30ターンの上限
- 生成精度のムラ(ChatGPTなどと比較して不満の声も)
- Recall機能のプライバシー懸念
- 値上げの主因が「AI導入コスト」
特に「Recall機能」はPC上の操作履歴を記録する仕組みで、
「ローカル保存だから安全」と説明されてはいるものの、
ユーザーからは「そもそも記録されるのが嫌」という声も多く挙がっています。
AIなしプラン「Microsoft 365 Classic」はまだ選べる
実は、既存契約者向けに「Microsoft 365 Personal Classic」などAIなしプランが今でも一部提供されています。
これは期間限定オファーで、Microsoftアカウントのサブスクリプション管理ページから切り替え可能。
値上げ前の料金(日本円で14,900円程度)で利用を継続できます。
ただし、全ユーザーが対象ではなく、案内が届いていない場合は早めにサポートへ問い合わせたほうが安全です。
まとめ:Copilotは“全員に必要”ではない
今回の件で明らかになったのは、
MicrosoftがAI戦略を急速に推し進める一方で、「ユーザーへの説明不足」が問題になったという点。
AIによる効率化は確かに魅力的ですが、
「AIを使いたくない人」にも同じ価格・条件で選択肢が与えられるべきです。
Microsoft、信頼を取り戻せるか?
Copilotの導入は技術的には進化ですが、ユーザー体験としてはまだ“押し付け”の印象も否めません。
今回の謝罪と返金対応は、その反省の第一歩といえるでしょう。
ただし――もし他国でも同様の手法が使われていたとすれば、
今後アメリカや日本でも同様の問題が波及する可能性もあります。
今後のMicrosoftの対応に注目です。


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