「メモリが高くなった」と思っていたら、次はSSDまで値上がりするかもしれない。
2025年に入り、DRAM(メモリ)の価格高騰がPC自作界隈を直撃したが、その裏でNANDフラッシュ=SSDの価格も静かに、そして急激に上昇しつつある。Samsungは2026年Q1に続きQ2でも100%の値上げを実施する方針を打ち出しており、年初来の累計値上げ率は200%超に達する見込みだ。
この記事では、なぜSSD価格が暴騰しているのか、DRAM危機との違い、そして自作PCユーザーやシステムインテグレーターが今とるべき行動を、最新の業界動向をもとに徹底解説する。
SSD価格が上がる根本原因——AIがNANDを食い荒らしている
NANDとSSDの関係をおさらい
SSDの主要コンポーネントはNANDフラッシュメモリだ。スマートフォン・PC・サーバーすべてに使われるこのチップは、Samsung・SK Hynix・Kioxia・SanDiskなど限られたメーカーが世界供給の大半を握っている。
つまりNANDが値上がり=SSDが値上がりという構造は、ほぼ確実に成立する。
AIデータセンターがSSDを”爆買い”している
従来、NANDの主な需要先はPC・スマホだった。しかし2024〜2025年にかけて、構図が一変した。
NVIDIAの次世代AIプラットフォーム「Vera Rubin」をはじめとするメインストリームAIラックが、長文脈(ロングコンテキスト)ワークロード処理のためにエンタープライズSSDを大量搭載し始めたのだ。
| 用途 | NANDの役割 |
|---|---|
| 従来のPC・スマホ | ストレージとして補助的に利用 |
| 現代のAIラック | 長文脈推論の高速バッファとして中核利用 |
| クラウドサーバー | 大規模モデルのデータ読み書きに必須 |
AIにとってSSDはもはや「ストレージ」ではなく「演算インフラの一部」に格上げされた。この需要シフトが、コンシューマー向けSSD市場に波及している。
NAND価格の実態——昨年比450%増という衝撃数字
ソウル経済新聞(Sedaily)の報道によれば、NANDのスポット価格は昨年比で最大450%上昇した。DRAMの価格高騰が先行したが、NANDの値上がりはそれをさらに上回るペースだ。
Samsungが2期連続で100%値上げを敢行
- Q1 2026:Samsungが約100%の値上げを実施
- Q2 2026:さらに100%の追加値上げを実施
- 累計影響:年初来でSamsungのNAND供給価格は200%以上上昇
これに追随するように、SK HynixとKioxiaも追加の値上げを準備中と伝えられる。寡占市場であるNAND業界では、大手1社が価格を上げると他社も追随しやすい構造になっており、「値上げの連鎖」が起きやすい。
なぜメーカーはここまで強気に出られるのか
「メモリメーカーの交渉力は前例のない水準まで高まっており、需要側(バイヤー)はSamsungが提示する価格を受け入れるしかない状況だ」— ソウル経済新聞
AIハイパースケーラー(Google、Microsoft、Meta等)は、データセンター整備のためにNANDを「いくらでも買う」状態にある。メーカーにとってはPC向けに安く売る理由がなく、利益率の高いAI向け供給に舵を切るのは合理的な判断だ。
DRAM危機との比較——NANDはより速く、より深刻
「DRAMの時も騒いでたけど、なんとかなったんじゃないの?」と思う読者もいるだろう。しかしNAND危機はDRAMとは性質が異なる。
| 比較項目 | DRAM危機 | NAND危機 |
|---|---|---|
| 値上がり速度 | 段階的 | 急激(Q1・Q2連続100%超) |
| AIへの需要転換 | 先行して発生 | 急速に拡大中 |
| コンシューマーへの影響 | メモリ価格上昇 | SSD価格上昇+供給不足 |
| メーカーの強気度 | 高い | さらに高い(「未曾有の交渉力」) |
DRAMと同様の需給逼迫が起きているが、NANDの場合は値上げのスピードと規模が格段に大きい。業界関係者も「このトレンドはDRAMが辿った道筋と似ているが、価格上昇の攻撃性はNANDの方がはるかに高い」と指摘している。
工場をDRAMに転換する動き——NAND供給は「需要増」と「供給減」のダブル圧迫
価格高騰の原因はAI需要の爆発だけではない。実は供給側でも構造的な縮小が同時に進行している。
SK HynixはNAND新工場をDRAMに”横取り”
SK Hynixは2026年上半期に稼働予定の新工場「M15X(清州)」について、当初のNAND増産計画を変更し、DRAM専用ファブとして整備する方針を固めた。これにより月産ウェーハ数はSamsungと同水準の約60万枚規模に到達する見込みだ。
さらに同社は2026年分のDRAM・NAND・HBM生産キャパをすべて売り切り済みと発表。主な顧客はNvidiaで、消費者向けに割り当てる余力は実質ゼロに近い状態だ。
SamsungもスマホNANDラインをサーバー向けに転換
Samsungも同様の動きを見せている。朝鮮ビズ(Chosun Biz)によれば、Samsungはスマートフォン向けNANDの生産を削減し、そのラインをサーバーNAND(eSSD)向けに転換する作業を加速している。
その背景にあるのは、中国メーカー(YMTC等)によるモバイルNAND市場への低価格攻勢だ。利幅の薄いスマホ向けで戦うよりも、AIハイパースケーラーへの高付加価値なエンタープライズSSD供給に注力する方が収益性は高い。
なぜこれがコンシューマーに直撃するのか
| 動き | コンシューマーへの影響 |
|---|---|
| SK Hynix新工場をDRAMに転換 | NAND増産の機会が消える |
| SamsungがスマホNANDラインをeSSD転換 | 汎用NAND(PC・ポータブルSSD向け)の供給が直接減少 |
| 2026年分キャパすでに売り切れ | メーカーにコンシューマー向けを売る動機がない |
| 旧世代NANDライン(7世代)廃止・刷新 | 安価な旧製品の供給も縮小 |
要するに、「AIがNANDを買い占めている」だけでなく、「メーカーがコンシューマー向けNANDをそもそも作らなくなってきている」という二重構造が生まれている。需要が増えるのに供給が減る方向へ動いているのだから、価格が上がるのは構造的に避けられない。
PC市場・自作ユーザーへの具体的な影響
SSD単体価格の上昇
最も直接的な影響はSSDの小売価格だ。NANDコストが製品価格に転嫁されるまでにはタイムラグがあるが、現在の流通在庫が消化された後、市場価格への反映が本格化すると予想される。
特に影響が大きいと見られるのは:
- NVMe M.2 SSD(1TB〜4TBのミドル〜ハイレンジ)
- 大容量ポータブルSSD
- ゲーミングPC向けSSD(数TBが当たり前になったため)
BTO・システムインテグレーターのコスト増
自作しない層にも影響は及ぶ。BTOメーカーや中小SIerはNAND供給の確保自体が困難になりつつあり、PCの完成品価格の上昇や、仕様のダウングレードが起きる可能性がある。「同じ価格で買えるSSDが小さくなる」という事態も十分ありえる。
メモリ不足と重なるダブルパンチ
すでにDRAM(メモリ)の高騰が進行中の中、NANDまで値上がりすれば、PC自作・購入コストはメモリとストレージの両面から圧迫されることになる。特にメモリ32GB+NVMe 2TB構成を狙うミドル〜ハイエンド自作erにとっては、かなりの予算増を覚悟する必要がある。
今すぐとるべき行動——賢い買い時の見極め方
急いでいる人は「今が買い時」の可能性が高い
市場価格への反映にはラグがある。Q2の値上げが小売に波及する前の現在が、価格上昇前の最後の機会になりうる。
買い急ぎが有利な状況:
- 現在のSSD価格が予算内に収まっている
- 近いうちに自作・PC購入・増設を予定している
- 大容量(1TB以上)のNVMe SSDを狙っている

急がない人は価格動向のウォッチを続けよ
価格は一時的な需給バランスで動く。AI向け投資が一段落した後や、新たなNAND製造設備の稼働が始まれば、価格が落ち着く局面も来うる。価格比較サイト(価格.com等)でアラートを設定して、底値を狙う戦略も有効だ。
外付けSSD・ポータブルSSDは早めに手当て
外付けストレージも同様のNANDを使用しており、影響は免れない。バックアップ用途や写真・動画保存用に大容量外付けSSDを検討しているなら、早めの購入が賢明だ。
以下に、Amazon新生活セールにて15%オフの外付けSSDを紹介する。

まとめ——SSD価格高騰は現実のリスク、今動く人が得をする
この記事のポイントを整理する。
- NANDフラッシュ価格は昨年比最大450%上昇しており、SSD価格への転嫁が進む
- SamsungはQ1・Q2連続で100%値上げを敢行、SK Hynix・Kioxiaも追随の動き
- SK HynixはNAND新工場をDRAMに転換、SamsungもスマホNANDラインをサーバー向けに切り替え中——需要増+供給減のダブル圧迫
- SK Hynixは2026年分の生産キャパを完売済みで、コンシューマー向けに回す在庫は事実上ない
- DRAM危機と同様の構図だが、値上がりのスピードと規模はNANDの方が大きい
- BTO・完成品PCも影響を受け、PC全体の購入コストが上昇する
メモリ不足の問題が頭を悩ませている今、「SSDはまだ安い」という認識は危険だ。静かに、しかし確実に、次の価格危機はすぐそこまで来ている。
参考ソース
・https://www.kedglobal.com/korean-chipmakers/newsView/ked202411010010

コメント
コメント一覧 (4件)
はじめまして。いつもらぼぷらさんの動画を楽しく視聴しているファンです。
無断転載についてご報告があり、コメントさせていただきました。「電子機器生体観測」というYouTubeチャンネル(https://youtube.com/channel/UCprTmpb3-7DSRXoR4nwqGNw)にて、短い間隔でらぼぷらさんの動画が大量に無断転載されているのを発見しました。
もしよろしければ、視聴者のみなさんに該当チャンネルへの通報を呼びかける動画を作っていただけないでしょうか。私1人の通報では効果が薄くても、多くの方が一斉に通報することでYouTube運営に対応してもらいやすくなると思います。
らぼぷらさんの大切な動画を守るために、ぜひご検討いただけると嬉しいです。
ご報告ありがとうございます!
詳しい通報方法まで書いていただき助かりました…!
こちらでも確認できましたので、後日対応させていただきます。
先ほどGoogleやYouTubeで検索してみましたが、検索結果に無断転載していたチャンネルと動画は確認できなかったため、無断転載していたチャンネルと動画はすべて削除されているかと思われます。迅速なご対応ありがとうございました!
先ほどのコメントに追加情報があります。
もし視聴者への注意喚起動画を作るご予定があれば、報告の際は無断転載チャンネルの動画からではなくチャンネル自体から報告するよう強調していただけると幸いです。動画から報告するとそのチャンネルの再生数が増えてしまうためです。
チャンネルからの報告手順は以下の通りです。
1. ブラウザ版YouTubeで「電子機器生体観測」と検索する
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