Windows 11をお使いの皆さんなら、Google Chromeをインストールしようとした際に「Edgeの方が安全です」「Edgeなら同じことができます」といった執拗な引き止めに遭った経験があるはずです。

しかし、Microsoftの「他社排除」の執念は、ついにまだリリースすらされていない未来の製品にまで及び始めました。その標的は、OpenAIが開発を進めているAIブラウザ「ChatGPT Atlas(アトラス)」です。(Mac版は既にリリースされています。)
今回は、Edgeの内部コードから発覚した「迎撃システム」の全貌と、Microsoftがこれほどまでに怯える理由を解説します。
1. 「見る」から「任せる」へ――ChatGPT Atlasが変える未来
まず、Microsoftが震え上がっている「ChatGPT Atlas」とは何者なのかを整理しましょう。これは単なるブラウザではなく、「エージェント型ブラウザ」と呼ばれる新ジャンルのツールです。
- 自律的なWeb操作: 従来のブラウザは私たちが検索し、クリックして操作するものでした。しかしAtlasは、「家族全員分の旅行チケットを予算内で予約して」と命じるだけで、勝手に複数のサイトを巡回し、フォームを入力し、最適なプランを提示・実行してくれます。
- 圧倒的なシェアの脅威: すでにChatGPTは世界中で数億人に利用されています。もしChatGPTのサイト上で「Windows版の専用ブラウザが登場しました」と大々的に宣伝されれば、Edgeのシェアが一気に奪われるのは目に見えています。
2. 発覚した「迎撃フラグ」――ダウンロードを妨害する仕組み
技術情報サイト Windows Latest がEdgeの開発版(Canary)を解析したところ、まだ見ぬAtlasに対する「迎撃用」の隠しフラグが複数発見されました。
msEdgeAtlasDownloadIntercept(Atlasのダウンロードを遮断・妨害する)msEdgeAtlasDownloadBingReferrerHideIntercept(Bing経由のアクセスを隠蔽・妨害する)
これらのフラグは、ユーザーがAtlasをダウンロードしようとする挙動をシステムが検知し、「そのブラウザは必要ありません」「EdgeのCopilotの方が優れています」といった広告を割り込ませるための準備コードです。
製品がリリースされる前から「どうやって邪魔をするか」をコードレベルで準備しているその姿勢からは、Microsoftのなりふり構わぬ焦燥感が透けて見えます。
3. 「Copilot」という対抗馬の限界
Microsoftは「EdgeにはすでにCopilotがあるから、エージェント機能は備わっている」と主張したいのでしょう。しかし、現実にはEdgeのCopilotはまだ「チャットができるサイドバー」の域を出ていない部分が多く、Atlasが目指すような完全自律型の操作には至っていません。

機能の魅力で勝負するのではなく、「OSの支配権を利用して他社のダウンロードを邪魔する」という手法は、自由な競争を阻害するものであり、ユーザーの利便性を二の次にしていると言わざるを得ません。
4. 「シンプルなブラウザ」の終焉
Windows Latestの著者であるマヤンク・パルマー氏も指摘していますが、現在のブラウザ市場はもはや「軽量さ」や「シンプルさ」を捨て去り、AI機能の押し付け合いになっています。
- Microsoft: 何が何でもEdgeとCopilot、Bingを使わせたい。
- OpenAI: ChatGPTのエコシステムにユーザーを囲い込みたい。
この「ブラウザ戦争 2.0」において、私たちのデスクトップは企業間のエゴがぶつかり合う戦場と化しています。未発売の製品に対してまで「迎撃コード」を仕込むEdgeの挙動は、その象徴的な事件と言えるでしょう。
まとめ:選ぶ権利は「OS」ではなく「ユーザー」にある
Microsoftにとって、Edgeはもはや単なるブラウザではなく、自社サービスへ誘導するための「門番」のような存在です。しかし、どれほど巧妙な迎撃システムを構築しようとも、最終的にどのツールを使うかを決めるのは、OSではなく私たちユーザーです。
今後、Windows版ChatGPT Atlasが登場した際、Edgeがどのような「妨害工作」を見せるのか。私たちは、そのポップアップが「親切なアドバイス」なのか、それとも「ただの囲い込み」なのかを冷静に見極める必要があります。
If ChatGPT Atlas browser lands on Windows 11, Microsoft Edge already looks ready to “intercept” it with Edge/Bing upsellMicrosoft has a long track record of discouraging Chrome downloads via Edge or Bing, and we might see a repeat telecast ...



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