はじめに:愛ゆえの失望
WSLは、Microsoftが近年生み出した最高の発明の一つだと断言できます。わざわざ別のマシンを用意することなく、Windows上でシームレスにLinux開発環境が利用できる——これほど便利な機能はありません。
しかし、愛しているからこそ、裏切られた時のショックは大きいのです。Microsoftは、その愛すべき我が子であるWSLに、自らの手で毒を盛るような真似をしました。
WSL2の致命的なネットワーク障害
問題の概要
10月28日以降にリリースされたWindowsアップデート(特にKB5072033)には、WSL2を使用するエンジニアにとって致命的なバグが含まれていることが判明しました。Windows Latestが発見したサポートドキュメントによると、この問題は特定の条件下でネットワーク接続が完全に遮断されるというものです。
発生条件
この不具合は以下の条件が揃った時に発生します:
- ミラーリングネットワークモードを有効にしている
- サードパーティ製VPNアプリを使用している
ミラーリングモードとは、WSLがWindowsのネットワーク設定を直接共有し、まるでWindowsそのものであるかのように振る舞える便利な機能です。互換性が高く、多くの開発者に愛用されています。
影響を受けるVPNアプリ
特に以下のVPNアプリで問題が報告されています:
- Cisco Secure Client(旧Cisco AnyConnect)
- OpenVPN
これらは企業で広く使われているVPNソリューションです。つまり、リモートワークで会社のサーバーにアクセスする必要があるエンジニアが直撃を受けています。
技術的な原因
Microsoftの説明によると、「VPNアプリケーションの仮想インターフェースがARP(アドレス解決プロトコル)要求に応答しないために発生する」とのことです。
ARPは、ネットワーク上で「このIPアドレスを使っているのは誰ですか?」と問い合わせて、相手の居場所(MACアドレス)を特定する仕組みです。VPNアプリ側がこの呼びかけに応答しないため、WSL側が通信相手を見失ってしまうのです。
問題点
しかし、待ってください。
- アップデート前まで、これらのVPNアプリは何の問題もなく動いていました
- アプリ側は何も変更していません
- 変わったのは、WindowsというOS側です
百歩譲ってVPN側の設計が古かったとしても、今まで動いていた環境を破壊したのはOSのアップデートです。技術的に見れば、これは典型的な「OSとアプリケーションの相互運用性問題」であり、どちらか一方だけが悪いという話ではないはずです。
解決策は?
残酷なことに、ユーザー側でできる対策は何もありません。
Microsoftが修正パッチを提供するのを待つしかなく、その時期は早くても2026年1月13日の「パッチチューズデー」以降になる予定です。
つまり、年末の最も忙しい時期にネットワークを切断しておいて、「直すのは来年になります」と言っているのです。
エクスプローラーの「フラッシュバン」問題
もう一つの深刻な問題は、エクスプローラーのダークモード使用時に発生する白い閃光です。
問題の内容
ダークモードでエクスプローラーを使用していると、特定の操作時に画面が一瞬真っ白に光ります。まるでFPSゲームの「フラッシュバン(閃光手榴弾)」を食らったかのような眩しさです。
Microsoftの対応
Microsoftは「この問題を修正した」と発表しました。しかし実際には、最も頻繁に使う「PC」での「新しいタブ」の作成時に、依然として盛大に発光するバグが残っています。
9割直したからヨシ、では困ります。その残りの1割が最も眩しく、最も頻繁に使う操作なのですから。
まとめ:プラットフォーマーとしての責任
今回のWindowsアップデートは、開発者とダークモード愛好家にとって残念な内容となってしまいました。
WSLの問題点:
- VPNとミラーリング併用でネットワークが完全に遮断される
- 修正は2026年1月13日まで放置
- 責任をアプリ側に転嫁する態度
エクスプローラーの問題点:
- 「修正した」と宣言しながら、未修正
- ダークモード使用者の目に負担をかけ続ける
これが、2025年末のWindows 11の現状です。
素晴らしい機能を作っておきながら、自社のアップデートでその足を引っ張る——この「作っては壊す」伝統芸には、Windowsユーザーとして深い溜息が出るばかりです。
不具合に遭遇してしまった運の悪い方々は、来年のパッチチューズデーまで、サングラスを用意して強く生きてください。
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