Appleが、ついにGoogleの人工知能(AI)技術を採用します。
Bloombergのマーク・ガーマン記者によると、Appleは2026年春に提供予定の次期「Siri」において、Googleのカスタム版「Gemini」を搭載する計画を進めているとのことです。契約額は年間約10億ドル(約1540億円)にのぼると報じられています。
なぜSiriは“ポンコツ”のままだったのか
2011年に登場したSiriは、当時「未来の音声アシスタント」として世界を驚かせました。
しかし現在では、「すみません、それはわかりません」と返すばかりの存在として、ユーザーの不満を集めています。
その背景には、Appleの企業哲学が深く関係しています。
Appleは創業以来、「ユーザーのプライバシー保護」を最優先としており、AIの学習に必要な大規模データの収集を極力避けてきました。
この「データを集めない方針」が、結果的にSiriの進化を大きく制限することになったのです。
一方でGoogleやOpenAIは、膨大なユーザーデータを学習に活用し、対話能力の高いAIアシスタントを急速に発展させてきました。
Appleはこの点で、明確に出遅れていたといえるでしょう。
“頭脳はGoogle製”の新Siriへ
次期Siriでは、Googleが開発した大規模言語モデル「Gemini」が採用される予定です。
1兆2000億パラメータ規模のこのモデルは、Appleの現行クラウドAI(約1500億パラメータ)を大きく上回る性能を持ちます。
Appleはプライバシーへの配慮から、Geminiを自社のプライベートクラウド環境で動作させる方針です。
つまり、ユーザーの個人データはAppleが保持しつつ、タスク処理や要約生成などの「高度な思考部分」をGeminiが担う構成になります。
これにより、Siriはこれまで苦手としてきた“会話の理解”“文脈の保持”“要約生成”といった領域で、ようやく本格的な進化を遂げる可能性があります。
あくまで「暫定的な措置」
ただし、このGemini採用はあくまでも暫定的な措置とされています。
Appleは独自のAIモデル開発を継続しており、最終的にはGeminiに依存しない体制を目指しているとのことです。
関係者によれば、Appleは過去にAnthropicのAI導入も検討していましたが、年間15億ドル(約2300億円)とされるコストを理由に見送ったといいます。
結果として、性能とコストのバランスが取れるGoogleのGeminiに白羽の矢が立った格好です。
AppleのAI戦略は岐路に立つ
今回の決断は、Appleが「自前主義」から一歩踏み出したことを意味します。
AI分野における競争が激化する中、Googleとの連携はAppleにとって大きな転換点となりそうです。
とはいえ、Appleが本当に“AIの主導権”を取り戻すには、今後の自社モデルの完成度がカギを握ることになります。
GeminiによってSiriがどこまで“ポンコツ”を脱却できるのか──2026年の春は、AI業界全体が注目するタイミングとなりそうです。


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