NVIDIAがドイツでGPU首位を奪還——それでも単体で最も売れたのはAMD RX 9070 XTという現実

GPU市場全体では、長年NVIDIAが首位を独走してきた(グローバルでは約9割のシェア)。しかし、自分でパーツを選んで組む自作erがよく訪れるドイツの通販ショップMindfactoryでは事情が違う。コストパフォーマンスやVRAM容量をシビアに見るこの層の支持を集め、AMD Radeonが長らく販売台数でリードしてきた。

そのMindfactoryで、2026年6月、ついにNVIDIAが台数首位を奪還した。ただし内容をよく見ると、単純な「NVIDIAの勝利」とは言い切れない、なかなか興味深い構図が見えてくる。台数はほぼ互角、単一モデルで最も売れたのはAMDのカード、それでも売上高ではNVIDIAが圧勝——というねじれた結果になっている。

目次

Mindfactoryの2026年6月データ

今回の数字は、ドイツの大手PCパーツ通販Mindfactoryの販売データを集計しているTechEpiphany(@TechEpiphanyYT)によるものだ。同店はDIY自作ユーザーが濃く集まる店で、ブランドより中身で選ぶ層の選好が強く反映される。あくまで一小売店のデータであり、ドイツ全体やグローバル市場(NVIDIAが約9割)とは傾向が異なる点は押さえておきたいが、自作er層の“いま何が支持されているか”を映す指標としてよく参照される。

メーカー販売台数台数シェア平均販売単価(ASP)売上高シェア
NVIDIA3,495台50.8%€1,100(約20.4万円)65.99%
AMD3,240台47.09%€591(約11.0万円)32.89%
Intel145台2.11%€447(約8.3万円)1.11%

販売台数で見ると、NVIDIAが3,495台、AMDが3,240台と、その差はわずか255台。ほぼ拮抗している。ところが売上高になると話が一変する。NVIDIAは平均販売単価(ASP)が1,100ユーロと高く、売上シェアで約66%を確保。一方のAMDはASPが591ユーロと低いため、台数が近いにもかかわらず売上シェアは約33%にとどまった。NVIDIAはRTX 50シリーズ、特にRTX 5080が売上を牽引しており、高単価モデルで稼ぐ構造がはっきりと出ている。

Intelは145台・シェア2.11%と、依然として市場ではほぼ存在感を示せていない。

単一モデルで最も売れたのはRX 9070 XT

メーカー全体ではNVIDIAが首位を取ったが、個別モデルのランキングを見ると様相が違ってくる。

モデル販売台数シェア
AMD RX 9070 XT1,825台26.62%
AMD RX 9060 XT1,260台18.38%
NVIDIA RTX 5060 Ti845台12.33%
NVIDIA RTX 5080750台10.94%
NVIDIA RTX 5070 Ti725台10.58%
NVIDIA RTX 5070540台7.88%
NVIDIA RTX 5090330台4.81%
NVIDIA RTX 5060150台2.19%
AMD RX 9070120台1.75%

単一モデルで最も売れたのはAMDのRX 9070 XTで1,825台。2位のRX 9060 XT(1,260台)と合わせると、この2枚だけで全GPU販売の約45%を占める。ドイツの自作ユーザーからの支持は依然として厚い。NVIDIA側で最も売れたRTX 5060 Tiでも845台で、AMDの上位2モデルには届いていない。

つまり「メーカー合計ではNVIDIAが勝ったが、個々のカードで最も選ばれているのはAMD」という状態だ。NVIDIAは高価格帯のRTX 5080・5090・5070 Tiといったモデルを幅広く売ることで台数と売上を積み上げ、AMDはミドルレンジの2枚に人気を集中させている、という対照的な売れ方が見える。

なお、8GB版のRTX 5060は150台とふるわない。VRAM容量が購入判断に与える影響は大きく、8GBという容量がユーザーに敬遠されている実態がうかがえる。

具体的に売れているモデル

Mindfactoryで実際に売れた個別製品のトップ3は、いずれもPowerColor製のRadeonカードだった。RX 9060 XT Reaperが610台、RX 9070 XT Hellhound OCが540台、RX 9070 XT Reaperが320台という並びで、コストパフォーマンスを重視するドイツ市場の傾向がよく表れている。

背景——メモリ高騰の打撃は高価格帯に集中している

この販売動向を理解するうえで押さえておきたいのが、2026年現在のメモリ市況だ。AIデータセンター向けの需要爆発により、DRAMやNANDフラッシュ、そしてグラフィックボードに使われるGDDR6/GDDR7メモリの価格が大きく高騰している。グラフィックボードは基板の大部分をメモリが占めるため、この高騰の影響を強く受ける構造になっている。

ただし、その打撃は価格帯によって大きく偏っている。最も深刻なのはハイエンドだ。RTX 5090は発売時の1,999ドルに対し、2026年半ばには実売3,000ドル前後(一部の店舗では5,000ドル超)まで跳ね上がっている。RTX 5080やRTX 5070 Tiも、まともな価格・在庫では手に入りにくい状態が続いている。高性能・大容量VRAMのモデルほど、AI用途と真正面から競合してしまうためだ。

一方で、ミドルレンジから下のクラスは比較的落ち着いている。8GB版のRTX 5060やRTX 5060 TiはMSRP付近で入手でき、RX 9060 XTクラスも実売価格が安定している。もっとも、GDDR6コストの上昇を理由にAMDのボードパートナーが一部モデルを値上げする動きもあり、「完全に無風」とまでは言えない。それでも、DRAM/NAND自体やハイエンドの価格崩壊に比べれば、中位以下の消費者向けGPUはまだ現実的な価格でアクセスできる状況が保たれている。

この「高価格帯だけが突出して高騰し、中位以下は比較的手頃」という構図は、次に見る日本のプライムデーの価格状況にもそのまま表れている。

日本国内での販売状況——Amazonプライムデー開催中

この傾向は日本市場にも通じるところがある。ちょうど開催中のAmazonプライムデーでも、AMDのRadeon RX 9000シリーズが価格面で強い訴求力を見せている。

Radeon勢では、SAPPHIRE PULSE RX 9060 XT GAMING OC 16GBが43%オフの52,800円、玄人志向のRX 9060 XT 16GBがプライムデーセールで13%オフの52,390円と、いずれも5万円台前半で16GB VRAMのカードが手に入る。上位のRX 9070 XTも、ASUS PRIME RX 9070 XT O16Gが46%オフの94,808円と大きく値を下げている。過去1か月で100〜200点以上購入されている人気ぶりだ。

一方でGeForce RTX 50シリーズはやや高めの水準が続いている。MSI RTX 5070 12G VENTUS 2X OCは15%オフの103,000円(クーポン適用で95,790円)。より手頃なのはMSI RTX 5060 Ti 8G VENTUS 2X OC PLUSで、プライムデーセール26%オフの59,800円。グラフィックボードカテゴリのベストセラー1位にもなっている。

ただし注意したいのが、この安価なRTX 5060 Ti 8GB版のVRAM容量だ。前述のドイツ市場のデータでも8GBモデルが敬遠されていたように、近年のゲームは8GBでは足りない場面が増えてきている。予算が許すなら、多少高くてもVRAMに余裕のあるRTX 5070やRTX 5070 Tiを狙いたいところだ。もっとも、そうなると価格は10万円前後まで跳ね上がってしまうため、ここは悩ましいトレードオフになる。

VRAM容量とコストパフォーマンスの両面を重視するなら、16GBを積んで5万円台に収まるRX 9060 XTがドイツでも日本でも売れている理由は、価格表を並べてみるとよく理解できる。

まとめ

ドイツ市場の2026年6月データは、「NVIDIAが台数と売上で首位を奪還した」という見出しの裏で、「単一モデルで最も売れているのは依然としてAMD RX 9070 XT」という現実を映し出している。NVIDIAは高価格帯モデルの数で押し切り、AMDはミドルレンジのコストパフォーマンスで支持を集める。この構図は、プライムデー開催中の日本市場でも似た形で確認できる。

グラボ選びで迷ったときは、解像度と予算に加えて「VRAM容量」を軸に据えると判断しやすい。8GBモデルの安さに飛びつく前に、少し上のクラスの16GBモデルまで視野を広げてみることをおすすめしたい。

参考ソース

https://wccftech.com/nvidia-retakes-germanys-gpu-crown-with-8-more-sales-yet-amds-rx-9070-xt-still-outsells-every-single-card

X (formerly Twitter)
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この記事を書いた人

『らぼぷら』の編集兼運営者をしており、動画投稿含めすべてのコンテンツを執筆・編集しています。
中学時代から自作PCに熱中し、CPUやGPUの比較検証、冷却・静音チューニングまで幅広く研究してきました。
得意なことを活かしたい!という思いから、長年の趣味であるPC・ガジェット情報を発信する当サイトを開設!

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