不具合の概要
Microsoftは2026年5月の月例更新「KB5089549」において、一部のデバイスでインストールが失敗する不具合を公式に認めた。エラーコードは0x800f0922のほか、0x80240069・0x80240031なども報告されている。
原因はEFIシステムパーティション(ESP)の空き容量不足だ。MicrosoftはKnown Issue Rollback(KIR)によるサーバーサイドでの緊急対応をすでに展開しており、一般ユーザーの多くはPCを再起動するだけで問題が解消される見込みだ。
症状
インストール失敗時の挙動は以下の通り。
インストールの初期フェーズは正常に進む。その後、再起動フェーズに入り進捗が35〜36%に達したところで処理が停止し、Windowsが変更のロールバックを開始する。画面には「問題が発生しました。変更を元に戻しています。」と表示され、デスクトップに戻される。Windows Updateの履歴にはエラーコード0x800f0922が記録される。
PCによってはロールバックされず、起動に問題が生じたり、動作が重くなる場合もある。また再起動のたびにインストールが強制リトライされ、ループ状態に陥るケースも報告されている。
ユーザーからの被害報告
Microsoftのフィードバックハブにも複数の被害報告が寄せられている。
あるユーザーは、インストール中にPCが起動ループに陥ったと報告している。システムが連続して3回再起動を繰り返したのちにアップデートの適用に失敗し、変更がロールバックされたという。「インストールの再試行を強制され続けた」とそのユーザーは述べている。
別のユーザーは2度インストールを試みたが、いずれも進捗が100%に達した後に「問題が見つかったため変更を元に戻す」というメッセージが表示されたと報告している。電源ボタンを長押しして強制再起動することで何とか復旧できたものの、Windows Updateの履歴にはインストール失敗と記録されたり、そもそも更新の記録自体が残らなかったりと挙動が不安定だったという。Windowsのトラブルシューティングツールを実行しても問題は検出されなかったとも述べている。
原因:EFIシステムパーティションの空き容量不足
EFIシステムパーティション(ESP)はWindowsの起動に必要なブートファイルを格納する領域で、通常は100MB程度の容量が割り当てられている。Windowsが自動的に非表示にしているため、通常のファイルエクスプローラーからは確認できない。
この領域はOEMのファームウェアアップデートが残したファイルや、複数のWindowsバージョンのインストール、Linuxのデュアルブート環境などによって圧迫されることがある。空き容量が10MB以下の状態でKB5089549をインストールしようとすると、ブートファイルの書き込みに失敗してインストールエラーが発生する。
インストール失敗時、C:\Windows\Logs\CBS\CBS.logには以下のようなログが記録される。
SpaceCheck: Insufficient free space
ServicingBootFiles failed. Error = 0x70
SpaceCheck: <値> used by third-party/OEM files outside of Microsoft boot directories
EFIパーティションの空き容量を確認する方法
PowerShell(管理者)を開き、以下のコマンドを実行する。
Get-Partition | Where-Object GptType -eq '{c12a7328-f81f-11d2-ba4b-00a0c93ec93b}' | Get-Volume | Format-List Size, SizeRemaining
SizeRemainingが10MB(10,485,760バイト)を下回っている場合、KB5089549のインストールに失敗する可能性がある。
対処法
方法1:KIRによる自動修正(一般ユーザー向け)
Microsoftはすでにサーバーサイドでの緊急修正(Known Issue Rollback)を展開済みだ。一般ユーザーおよび非管理対象のビジネスデバイスには自動的に修正が配布される。
PCを数回再起動したうえでWindows Updateを確認すると、インストールが正常に完了する可能性が高い。
方法2:レジストリ設定の変更(手動対応)
KIRによる自動修正が適用されるまでの間、または自動修正が効かない場合は以下の手順で対応できる。
レジストリの編集を誤るとシステムに深刻な問題が生じる場合がある。作業前に必ずレジストリのバックアップを取ること。
コマンドプロンプトを管理者として開き、以下のコマンドを実行する。
reg add "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Bfsvc" /v EspPaddingPercent /t REG_DWORD /d 0 /f
実行後にデバイスを再起動し、Windows Updateから再度インストールを試みる。
方法3:グループポリシーによる適用(企業・IT管理者向け)
IT部門によってWindows Updateが管理されているデバイスには、KIRが自動適用されない。管理者は専用のグループポリシーをインストール・設定することで修正を適用できる。
ポリシーのパスは「コンピューターの構成 → 管理用テンプレート」以下で、対象バージョンに対応したポリシー(KB5089549 260514_06221 Known Issue Rollback)を使用する。適用後は必ず対象デバイスを再起動すること。
グループポリシーによるKIRの適用方法の詳細はMicrosoftの公式ドキュメントを参照のこと。
現在の状況
Microsoftは今後のWindowsアップデートで恒久的な修正を提供するとしており、詳細が明らかになり次第サポートドキュメントを更新するとしている。
その他のインターネット接続に関する不具合などの報告についてはMicrosoftは把握していないとしており、現時点での既知の問題はこのESP容量不足によるインストール失敗のみとなっている。
May 12, 2026—KB5089549 (OS Builds 26200.8457 and 26100.8457)

コメント