Intelが歴史的な株価爆上げを演じ、AMDが記録的決算を叩き出した。
その裏に共通するキーワード「エージェント型AI」が、CPU需要の構造を根本から変えようとしている。
Intel株が1987年以来最大の上昇を記録した
2026年4月24日、Intelの株価が単日で24%跳ね上がった。1987年以来、約40年ぶりの記録的な上昇幅だ。年初来でみると、なんと+124%という驚異的なパフォーマンスになっている。
Q1 2026の売上は136億ドル(前年比+7%)、データセンター部門は前年比+22%の51億ドルに達した。
アナリスト予想を大幅に上回る結果を叩き出し、Citi・Evercore ISI・KeyBancらが一斉に「買い」格上げ。株価ターゲットを95〜118ドルに設定し、「CPUルネサンス」と呼んだ。
これほどの急騰の背景には、IntelのCEO Lip-Bu Tanが決算説明会でぶち上げたある一言がある。
「CPUはAI時代に欠かせない基盤として、再び中心に戻ってきた。これは私たちの希望的観測ではなく、顧客から直接聞いていることだ」 — Intel CEO Lip-Bu Tan, Q1 2026 決算説明会
AIの主役はこれまでGPUだった。NVIDIAが独り勝ちするかのような展開が続いてきた。
しかし「Agentic AI(エージェント型AI)」の台頭が、そのパワーバランスを変え始めている。AIが複数のエージェントとして協調動作するためには、GPUだけでなく大量のCPU処理が必要になるのだ。
AMDが103億ドルの過去最高売上を叩き出した
Intelの株価爆上げから約2週間後、AMDが発表したQ1 2026決算がさらにその流れを強力に裏付けた。
売上高は前年比+38%の103億ドルと過去最高を更新。なかでもデータセンター部門(EPYC CPU + Instinct GPU)は前年比57%増の58億ドルという爆発的な成長を記録した。クラウドプロバイダー向けのEPYC搭載インスタンスは前年比50%増加し、1,600種類以上に拡大している。
CEO Lisa Suは「AIのオーケストレーション、データ移動、並列実行においてCPUの役割が急拡大している。Agentic AIが強い近期需要と、顧客との長期キャパシティ計画の深化をもたらしている」と語った。
Intelのリバイバルと全く同じロジックがAMDでも明確に確認されたかたちだ。
では、GPUの需要は減るのか? 答えはNOだ
CPUが急浮上してきたことで、自然と湧き上がる疑問がある。「GPUの需要は喰われるのではないか」という懸念だ。しかしAMDのリサ・スーCEOはその見方を明確に否定している。
Lisa Suは「CPUの需要増はアクセラレータ(GPU)のTAMに対してほぼ相加的(largely additive)だ」と明言した。AIエージェントが基盤モデルを動かすためにアクセラレータが必要で、そのエージェントが新たなCPUタスクを”生み出す”構造になっているためだ。両者は競合ではなく、セットで伸びる。
話の核心は「CPU対GPU比率」の変化だ。従来のデータセンターはCPU1に対しGPU4〜8という構成が主流だった。それがAgentic AIの普及によって急速に変わりつつある。
| CPU : GPU 比率の変化 | ||
|
従来のAI構成
×1
CPU
×4〜8
GPU
|
→ |
エージェント型AI
↑ 急増
CPU
高需要維持
GPU
|
| Lisa Su:「エージェントが大量に走れば、CPUがGPUを上回るシナリオもありえる」 | ||
Lisa Su自身が「エージェントが大量に走れば、CPUがGPUより多くなるシナリオも十分ありえる」と語っている。ただし重要なのは、それはGPU需要が「消える」のではなく、CPU需要が「それ以上に膨らむ」ということだ。今、業界のあらゆるプレイヤーがアクセラレータの調達と同時にCPUを計画し始めている。この変化こそが、IntelとAMDの双方が記録的な数字を叩き出した本質的な理由だ。
AMD次世代製品:EPYC Venice & Verano
AMDはこの需要に応えるべく、次世代CPUの投入を進めている。
EPYC Venice(2026年後半) はZen 6アーキテクチャとTSMCの2nmプロセスで製造される。ARMベースのAIソリューションと比べてスループットが2倍以上を謳い、クラウド・エンタープライズ・AIワークロードをすべてカバーする幅広いSKUが展開される。
EPYC Verano(2027年) はAI特化プラットフォーム「SP7」向けに設計されたCPU。Lisa Suが「AI基盤に特化した初のEPYC」と表現した、コスト最適化モデルだ。
そしてAMDはサーバーCPU市場の見通しを、従来の年率18%成長から35%超の年率成長・2030年に1,200億ドル超へと大幅に上方修正している。Q2 2026のサーバーCPU売上は前年比70%超の成長を見込む。
まとめ:CPUが足りなくなる時代が、本当に来るかもしれない
IntelとAMDの2社が、同じメッセージを発している。「エージェント型AIがCPU需要の構造を変えた」と。
GPUが主役の時代でも、AIエージェントが複数協調して動く世界では、オーケストレーション処理のためにCPUが大量に必要になる。そしてその需要増はGPUを食うのではなく、市場全体をさらに押し上げる。IntelもAMDも記録的な数字を叩き出した本質は、CPUとGPUが共に不足していく時代の幕開けを告げているのかもしれない。

コメント
コメント一覧 (1件)
GPU, メモリ, SSD, HDD…ときて次はCPUだなんてこれ以上PCが高くなるとみんなローエンドのスマホくらいしか持たないようになるかもしれない( ´△`)
まぁ大抵の人間はスマホで十分だしPCは会社から貰ったものを使うだろうから問題無いとはいえ、私みたいなPCユーザーはPCでしかできないことをやっていることが多いからPCが高くなると困るんですよね〜